三澤拓選手
世界に挑む日本代表アルペンスキーレーサー(立位)
トリノ、バンクーバー、ソチ冬季パラリンピック日本代表
'17ワールドカップ白馬大会SG 3位
目的
・スキップ走法から交互走法へ
大腿義足で交互走行動作を行うと、蹴り上がった義足足部が次の接地時までに完全伸展位まで回復しないと思われていたため、健側を連続して二歩ステップすることでタイミングを合わせていました。これをスキップ走法と言います。
この走法は、健側と義足側の動作が著しく非対称となるため、合理的な走動作とは言えません。
しかしながら、健常者の走行理論を大腿義足走行に応用すれば、股関節の動きに連動して膝継手の屈伸動作が行われ、義足側接地のタイミングまでに膝折しにくい完全伸展位になることがわかります。
三澤選手にこの動作を習得させるため、スキー用ストックを初期の転倒不安の支えとして、交互走法を指導しました。
片側大腿短断端切断者による交互走行獲得に関する事例研究
・腰痛の改善
三澤選手の股関節作用筋群の筋量をMRIによる画像データで比較したところ、切斷側と健側に差がありました。
三澤選手は健側のみでスキー滑走を行うので、左右の筋バランスは増大はしても改善はされません。
そこで、腰痛の原因の一つにこの筋量の差があると考え、走動作によるアンバランスの改善を試みました。